愛が欲しい子供の君
チャイムと共に、俺は教室をダッシュで出る。
目指すのは三つ先のE組の教室。チャイムの音と共にどやどやと人が吐き出されてくる。
「伊達ちゃーん!!お昼食べに行こうっ!!」
「うるせーよ、クソ猿。」
猿飛佐助17歳、絶賛片思いの真っ最中です!!
お昼休み、屋上へ上がれば何時もの面子。不思議な縁があるもので、戦国を駆け巡った俺たちは現世では高校生と言った肩書きで同じ世界に生きている。
伊達ちゃんを見つけたのは入学式。相変わらず真田の旦那のお世話をしてた俺は、半分寝ぼけた旦那を無理やりに引っ張って体育館を目指してたんだ。
そしたら、満開の桜の下に見つけちゃったんだよねぇ。
本当に、俺様自分の目を疑っちゃったよ。
そっからは、もうなんか本当に、自分でも引いちゃうぐらいに伊達ちゃんに一直線。
だってさ、あの時は絶対に叶えられる事の無かった思いが、もしかしたらこの世界では叶うかもしれないじゃんね?
ストーカー並のしつこさで何とか俺の存在を視界に入れて、お友達から初めて半年。今じゃ、俺と伊達ちゃんはすっかり仲良し・・・だと思いたい。
「伊達、今日の弁当はなんだ?」
「あー?今日は・・・げぇ、小十郎の野郎。」
ナリ先輩に言われて弁当を開く伊達ちゃんの綺麗な左目が、すぅっと細くなる。これは、伊達ちゃんがイラっとしてる証拠。出会ってすぐの頃、俺がしょっちゅうやられた表情だもん。覚えるよ。
「アイツ、本気で俺のこと嫌いなのか。」
「好き嫌いしないで食べろってことだろ?奥州筆頭の名が泣くぜ?」
「俺、今はただの高校生だから。」
伊達ちゃんのお弁当のおかずは、見事に人参と椎茸とピーマンのみで構成されていた。いっそ、ここまで来ると感動すると思うんだけど。
「片倉さん、相変わらずすごいんだねぇ。」
「何感心してんだよ、クソ猿。」
弁当の白米だけを食べてる伊達ちゃん。まぁ、ぶっちゃけ嫌そうに椎茸避けながら睨まれても、可愛いだけなんだけどねぇ。
あの奥州筆頭、独眼竜伊達政宗ともあろう男が、まさかの野菜嫌いだと知ったときは、本当におかしかった。
きっと、この世界に生まれなかったら絶対に知らなかっただろう情報。
それ以外にも、伊達ちゃんの意外な一面を沢山知れた。
低血圧で朝が苦手だとか、新しい物が好きな割には変な所で保守的だとか、筆まめな所は変わってなくて字がすごく綺麗だとか、案外情に厚くて優しいとか。
数えだしたらキリがないぐらいに。
「佐助ぇ〜、某もピーマンは苦手でござる。」
「真田の旦那は、偏食過ぎるの!!俺様がちゃんと栄養バランス考えて作ってるんだから食べなさい。」
「おー、佐助がオカンみたいだ。」
「チカ先輩、口にピーマン突っ込んで欲しいの?」
「幸村、お前これも食えよ。」
「むっ!政宗殿、自分の分は自分で食べるべきでござる!!」
「うるせぇ、このござる侍。いいから食えっての。」
「お前ら二人とも子供じゃあるまいし。何でも好き嫌いせずに食すのが作り手に対する礼儀というものだ。」
「とか言いつつ、元就はさっきからセロリ避けてるけどな。」
「なぜ我が元親ごときに礼儀を守る必要がある。」
「テメェ、このクソ元就。セロリぐらい食えよ。」
「慶次殿、それがしのピーマンと焼きそばパンを交換いたさぬか?」
何時ものことだけど、本当に幸せだと思うんだよねぇ。
こうやってさ、皆仲良く・・・って言えるのかは微妙だけど、刃を突きつけあう事も無く他愛ない話をしてお昼食べる日が来るとは、思ってもみなかったもんね。
ちょっとウルサイけど、それだってくすぐったいぐらいに幸せ。
まだキャンキャン騒いでるナリ先輩とチカ先輩に慶ちゃんと真田の旦那。
ん〜・・・俺の気のせいじゃなかったら、何だか伊達ちゃん、今日は元気ないと思うんだよねぇ。
いや、何時もお元気な真田の旦那や慶ちゃんと比べたら、伊達ちゃんはむしろ静かなタイプなんだけど。でも、今日はちょっと雰囲気が違うんだよね。疲れてるのかな?それとも、何か悩みとか?
「ねー、伊達ちゃん。」
「なんだよ。」
ほら、噛み付いてくるけれど何時もの勢いがない。お昼呼びに行った時だって、いつもなら罵詈雑言の一つや二つや三つや四つ、降ってくるのに。
「なんかさ、あった?」
回りくどい事は嫌いじゃないけど、伊達ちゃん相手限定で俺は直球勝負です。
だって、伊達ちゃんってば自分の気持ち隠すのが上手いんだもん。
「伊達ちゃん、今日ちょっと凹んでるでしょ?」
騒いでる四人に聞こえないように、そっと伊達ちゃんの隣に移動して耳打ちする。
伊達ちゃんは、何かに驚いたみたいに左目を軽く見張る。それから、それを隠すみたいに、何時ものちょっと皮肉気な笑みを唇だけで象る。
「お前に心配される筋合いはねーよ。」
そう言った伊達ちゃんだけど、表面だけ繕った笑みなのは良く解かる。俺が、そうだから。
俺と伊達ちゃんは、結構似てる。表面を取り繕うのが得意で、形だけの感情を表すのが得意。だからかな?俺ね、伊達ちゃんが何を考えてるのか結構わかるんだよ。今も、必死で何時もの自分を作ってるの、俺は解かっちゃうんだよね。
「伊達に伊達ちゃんのストーカーしてないよ?あ、俺上手いこと言った。」
「お前、一回死んどくか?」
ちょっと本気で言ってる伊達ちゃん。
「嫌だよ。俺は、伊達ちゃんとラブラブしてから共白髪になって伊達ちゃんを見送ってから死にたいんだもん。」
「・・・マジで死ね。」
そう言った伊達ちゃんは、でもどことなく嬉しそうに見えた。
「俺ね、本気で伊達ちゃんのこと好きだから。」
だから、俺は全力投球全力疾走で、伊達ちゃん一直線なんです。
今度こそ、叶えたいから。
「言ってろ、馬鹿。」
−ぶっ千切り−
すいません。この後が上手くまとまらなくて結局打ち切り。
落ちもなければ盛り上がりもない。そんな古歌さんクオリティーでスイマセン。
いや、学バサ美味しいと思って一人で盛り上がって書き出したは良いけど、結局何が言いたいのか見失いました。
いやね、母親絡みで弱ってる政宗様を佐助が慰めれば美味しいとか思ったの。
母親の話一言も出てきてないし、結局皆で昼飯食べて終わってるし。つか、ぶっちゃけ元就さんのしゃべり方がよくわかってないって言う。
でも、野菜が嫌いで小十郎が小さく切って隠した椎茸とか人参を探し出して避けてる筆頭可愛いと思う。ハンバーグの中に入ってる野菜も全て除外してたら可愛いと思う。そんでもって、怒った小十郎に野菜尽くしの料理出されて涙目になってたら可愛いと思う。もちろん、野菜は小十郎作成の完全無農薬の有機栽培だよ。筆頭の為に畑作ってる小十郎とか萌え過ぎて禿げる。その畑に悪戯して筆頭が怒られればいいと思う。もちろん、佐助は共犯です。それがばれて、佐助は筆頭以上に怒られていれば言いと思う。
そんな妄想が止まらない自分の頭は、心底カワイソウなんだと思った。