日々妄想を逍遥

ダイアリーから移築。中身は変わらずに色々と、あることないこと書き込んでます。

夜に潜む


誰もいない。
ただ一人で煙草を吸った。
最後の一瞬だけ燃え上がった火の粉がわが身を焦がす。


夜の駅はほとんど人がいない。
改札から地下通路を通ってホームへと急な階段を上がる。通り抜けた改札はとっくの昔に無人になっていて、冷たく無慈悲な自動改札。
情緒がないな。なんて笑ってみても、反応する人もいなければ見る人もいない。


「おやおや・・・いや、やれやれ。のが合うかな。」


階段の先、煌々と辺りを照らすライト。けれども、その清冽な光でさえも掻き消せない深い暗闇。
不思議だ。
駅のホームには闇と光、相反するもの同士が仲良く並んで存在している。
全てはそう、背中合わせなのだと大学の教授がいっていた。
そもそも、あの教授に付き合ったおかげで終電に乗るハメにのだけど。
大学の図書館へ足しげく通うようになったのは、職場が移動となり新しいビルが私立の大学に近かったからだ。
仕事の帰りに不定期による大学の図書館。近未来的な明るい建物の五階、屋上テラスにだけ設置された灰皿。
その狭いスペースでだけ会話をし互いに存在を認めてきた。
真っ白な頭と長い髭が良く似合う、まるで絵に描いたような大学教授。


「電車、こないな・・・。」


吐き出す息は煙草の煙で白く濁る。まるでさっき飲んだホットミルクみたいだ。
明るいはずのホームに密やかに忍び寄る闇。その影に隠れる化け物の姿を見たような気がして、馬鹿らしいと首を振る。
子供の時は、あれだけ怖かった暗闇。
いつから、あの暗闇を恐れなくなったのだろうか。
御伽噺の世界に存在するモンスターを、いつから区別できるようになったのだろうか。
あの頃の恐れは、正体の知れないモンスターを警戒する恐れ。
今闇に抱くのは、きっと形が違う恐れ。


「曰く、飲み込まれて戻れないだろう己。いや、飲み込まれに逝って戻らなくなる己か?」


言葉遊びにしては、聊か物騒で魅惑的な提案。
暗闇に進んで落ちる人間が、落ちることに抵抗の無い人間が、確かにこの世には存在する。
そして、自分は多分ソッチ側だ。
自ら進んでタブーを犯すことはない。でも、タブーだと知っていても犯すことに躊躇も矛盾も感じない。
禁忌は、己の認識と社会の認識が一致して産み出される幻想だ。


「あ、電車。」


轟音と共にホームに滑り込む電車。
開いたドアから乗り込めば、目が眩むばかりの光。
アナウンスの声、どこか停滞した眠たげな車内の空気。


「落ちるなら、どこまでも。」


走り出す電車は、まるで闇の中に落ちていく流星みたいに感じた。









−反省会−
反省だけなら猿でも出来る。よろしい、ならば後悔だ。
ども、古歌っす。
今回はちょっと趣向を変えて、短編小説風←これがミソ。
いやー、駅のホーム大好きな古歌さんです。あの独特の空間好きです。
コンクリートの建造物にときめきを覚えるタイプなので、駅やホームは新しいもののが好きですね。
木造もノスタルジックでいいけど、やっぱりホームはコンクリートで。そして、無粋な屋根など少ししかないってのがベスト。あのホーム入り口にだけ申し訳程度についてる庇のような屋根。トタンがいいなー。
あの下から一歩踏み出すと、そこはもう真っ暗。みたいなホームが好きです。
ちなみに、地元の駅はそんな感じ。
この写真は、地元じゃないけどね。
この話は、案外スラスラと言葉が出てきたものです。素直な感じかな?
写真のイメージが固まってたので、自分の体験混みで書けたからかもしれないね。
そして相変わらずの空間写真でスイマセン。携帯だと、こんなもんが限界ですかしらん。デジカメ買おうか迷ってます。
取り合えず安いデジカメ買って遊ぶか、それとも一生もののつもりで欲しいの買うか・・・迷う。
でも、一番欲しいのはパソコンですけどね。モバイル君も限界だよ。
さて、今日は仕事終わったら飲み会です。高校の同級生と。
どーした自分と思わなくもないけど、その報告は後日。
ではでは、らびゅー。