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日々妄想を逍遥

ダイアリーから移築。中身は変わらずに色々と、あることないこと書き込んでます。

夏の終わりの最期の時に

夏が終わっていく。暮れていく日が少しづつ早くなり、傾く西日がキツクナル。

そんな中佇むと、まるで世界が終わるような感覚に陥ることがある。

あくまで自分の感覚だからか、自分を除いた周囲はそんな事意に介さずに日々を送っていく。

それに、小さな違和感。

過ぎ行く時間を惜しむ、まるでモラトリアムの終わりを迎えるような寂寥感。

 

「そんなこと、考えたりとか。」

「ないな。」

 

一刀両断、切り捨てゴメンの素気無いセリフに叩き落される寂寥感は、粉々に砕けて綺麗な破片が空を舞い飛んでいく。

ちっぽけな自分のちっぽけな感傷だからこそ、粉々に砕け散るんだろうなぁ。

 

「いいから、早く仕事終わらせてくれ。」

 

山盛りの書類をペン先で示して、素気無いセリフの持ち主は上げることのない視線を紙面に固定したまま言葉を紡ぐ。

ここ数日のドタバタ劇場のおかげで溜まった書類仕事を最後の最後まで逃げ回っていたけれど、とうとう年貢の納め時だと捕えられてしまった。

それが運の尽き。せめてもの意趣返しにクダラナイ議論を吹っかけてみたけれど、まったく乗ってくれない。

書類を貯めようがごみを貯めようが、仕事は変わらず回っていくし動いていく。否応もなく進む時間を止めたいとか思ったが最後、支配された夏の終わりの寂寥感。

夏が好きだからこそ、その終わりを惜しむのは仕方ないとはいえ、いい加減仕事をしないと書類に突きつけるペン先が眼球を直撃しそうな気配もしている。

 

「仕方、ないね。」

 

やれやれと肩を回して煙草を咥えて、さてこの面倒な仕事を打倒してこの夏最期の花火大会でも開催してやるか。

一向に湧き上がらないやる気を何とか引き出して、吸い込んだニコチンが血流を抑えて一瞬だけ時間を巻き戻すような感覚。本来なら血流が鈍るってことは頭の回転も鈍るはずだけど、そこはプラシーボ、思い込みの力を活用する。

 

 

いきなり意味不明な議論を吹っかけて仕事を吹き飛ばそうとした馬鹿は、煙草の煙を吸い込むと猛然とペンを走らせ始める。

やれば出来るのだから、初めからやればいいのに、ケツに火がついて炎上してなお腰を上げないこのさぼり癖はもはや賞賛に価する。

どうせ終わらない書類に押しつぶされて泣き叫ぶ羽目になるのだから、とっとと片付ければいいものを。

人間離れしたスピードで次々と書類に目を通し裁可不裁可を見極めてサインを残し、書面を書き込み整えて、本当に理解しているから怖いものだ。

初めは適当にやってるのだろうと思い最終チェックをしていたが、その必要がないと解ったのは組んで三日目。文字列を写真や絵のように捕えて全体を理解しているらしいのだけど、説明されてもコッチは理解出来なかった。

 

「終わったら花火、焼肉、ビール、ビアガーデン、バドガール……」

 

まるで何かの呪文のようにつぶやく言葉はどこまでも不真面目で、仕事しているとは思えない。

仕事している自分とは別に、もう一人本当の自分がいるもんだ。

そう豪語した無駄にハイスペックな馬鹿は、そのスペックに見合った仕事量を終わらせていく。

最後の一枚、これでこちらの分担はすべて済んだ。

 

「珈琲。」

「濃いめ。山盛り三杯。」

 

カレースプーンで山盛り三杯をマグカップに放り込んで、半分程の湯でかき回す。

溶けきらない粉がドロドロと渦をまくカップを無造作に口元に運び、再び煙草に火を付ける。

あれだけ山になった書類が瞬く間に姿を消し、とうとう最後の一枚。意外なほどに整った文字でサインをして、それで仕事は終了だ。

 

「夏が終われば冬が来て、すぐに春が来て、また夏が来る。当たり前に季節は巡るんだ。何もこの夏しか無いわけじゃない。」

「……そうかもね。」

 

当たり前に巡る季節を思える事は、それはそれは幸せなことだろうね。

この夏生き延びて、必ず来年夏が巡ると考えられない捻くれ者には眩しいほどに。

だからこそ、この夏最期なんて思ってしまうのだから。

 

夏の終わりの最期の時に。

そんな最期を迎えてみたいもんだよね。

 

 

 

閑話休題

タイトル先行型だとぐっだぐだになる法則。

ども、古歌です。ここ数日朝晩は確実に冷え込み、とうとうクソうざったい暑苦しい残暑ともおさらば出来るかと思うと涙が溢れて止まらない。

夏は好きなのですが、暑いの苦手なので一刻も早くコートを着込む冬が来ないかとわくわくしております。

冬は冬で寒いクソ寒いと呪詛る毎日んですが、それでもクソ暑いよりはなんぼかマシです。あー、もう暑いのは満喫したから、早く寒々しい毎日をください。

 

さて、夏の終わるあの寂寥感と西日の傾きが大好物なんですが、何とも言えないあの夕暮れの雰囲気いいよねー。

仕事して定時で上がれると、ばっちし見事に夕日の中帰ることになるわけで。

燃えるような赤い夕焼け空と傾く暗がりが好きです。

日陰がより一層濃くなって街灯に照らされてもどこか薄暗い感じ。逢魔が刻と言いますか、あの人も何もかも曖昧になる感じ。向かいの人影が良く見えなくて、それでも輪郭だけはクッキリ浮かび上がる感じ。堪らないね。

そんな雰囲気とタイトル先行しましたが、見事なぐっだぐだ感。いや、夕暮れのあの焦るような妙な感覚と仕事山積みして終わらない感覚が似てると言いますか、ケツに火がついても動かないのは古歌な訳でして。まぁ、早め早めにやれば後々楽になるのは解るんですがねー。もちろん必要なら早め早めで仕事しますけど、焦る必要のない仕事は本当にギリギリまで何もしないのですよ。

それで何とかなってるから、まぁいいか。

そんな感じで、ちょっと書く癖を復活させて頑張ろうかな。今年も残りわずかなわけですしおすし。

んじゃ、らびゅー。