押し付ける思い
張り詰めた生き方をしている人間だと思っていた。
まるで、何かに急き立てられるみたいに、生き急いでいる印象が目立った。
自分が、全てに置いて流されるままに生きていたからかもしれない。
その隠された右目で何を見ているのか、知りたいと思った。
片方しかない瞳に全ての感情を乗せて見返してくる君は、とても、とても綺麗だった。
学校の中でだけの知り合いって言えば聞こえはいいけど、様は他人に深く関わらせるのが煩わしかっただけで、愛想笑いは学校の中だけで沢山だ。
表に一歩踏み出せば、そこには本当の俺しかいない。面白くもないのに笑う必要もなければ、楽しくもないのに笑みを刻む必要もない。
そんな世界で、俺は君を見つけたんだ。
路地裏に、人目をはばかるようにひっそりと佇む君は、まるで手負いの獣みたいで。子猫が必死に威嚇するみたいに毛を逆立ててくる様子が楽しくて、思わず傷を覚悟で手を差し伸べた。実際は、子猫なんて可愛いものではなかったし、ガッツリ引っかかれた手には綺麗に三本づつ傷跡が残った。
「伊達ちゃん、だっけ?なーにをそんなに警戒してるのさ。」
甘い、甘い、毒を流し込む。このプライドの高い猫を自分にだけ懐かせて膝を折らせたら、それはそれは楽しいだろうと思った。
誰も近づけないから皆は気づいてないだろうけど、この猫は本当に綺麗な顔をしてるんだ。
もったいないのは、長い髪に覆われて半分が見えないところだけど、それだって雰囲気と相まって君を神秘的にすら見せている。
「近づくな、消えろ。俺の視界から消えうせやがれ。」
ああ、どうしよう。すごく楽しい。
「嫌。俺は、俺のやりたいようにやるだけだよ。」
バリバリと引っかいてくる爪を気にせずに、軽い体を持ち上げた。身長は俺とそんなに変わらないのに、もう何かその異常な軽さに、ドキドキする。抱き寄せた腰とか本当に細くて、これちょっと間違えて力込めたら確実に折れると思う。
それが、俺と伊達ちゃんのファーストコンタクト。今思い出しても、俺って結構ギリギリなことしてたと思う。
「佐助、今日の弁当なに?」
「今日はねー、片倉さんに貰った野菜でオムレツ。」
「却下。」
「ちょっと!!伊達ちゃん少しは偏食治そうよ。」
俺の手元を覗いてくる伊達ちゃんは、嫌そうに左目を歪める。そんな顔しても駄目だよ。折角片倉さんがくれた野菜なんだから。それに、一緒に住む条件の中には、伊達ちゃんにキチンとした生活を送らせることって、二重棒線付で書いてあるんだから。
「ちっ、お前何時の間に小十郎と結託しやがったんだよ。」
「伊達ちゃんを心配してるんだよ、片倉さんだって。」
文句を言いつつ、野菜の皮むきとか手伝ってくれる伊達ちゃんが大好きだ。とか思う俺もそうとうだと思う。初めは、本当に好奇心だけだったんだけどねぇ。
何時の間にか、俺は伊達ちゃんが大好きになってて。それでも懐いてくれない伊達ちゃんを根気良く餌付けしたりして、結構健気で一途なんだよねぇ、俺ってば。そんな新しい自分の一面大発見。
「あ、伊達ちゃん。」
「なんだよ。」
「愛してるよ。」
「ばっ・・・・お前、マジで死ね!!」
愛が欲しいくせに愛を与えられると逃げ出す君に、俺は惜しみなく愛を与えようと思うんだ。
愛が欲しいと嘆く君が、素直にそれを受け取れる日が来るまで。
−ぶっ千切り2−
昨日の残念感を払拭してやると張り切ったらこうなった。
なんだろ、古歌は多分佐助に伊達ちゃんと呼ばせたいだけなんだと思う。
つか、男の子同士でちゃんづけで呼ぶの、古歌さん好きみたいね。
なんつーか、一方的な大好き感がダダ漏れな感じが愛しいです。
そして、どーして最近筆頭妄想ばっかりスパークしてるのか、自分の脳内に本気で問いただしたい。
もう、これでもいいかと思うそんな自分が一番残念だと思うけど直すきは毛頭ないです。ごめんなさい。
もう、筆頭が可愛くて仕方ないのが悪いんだと思います。