日々妄想を逍遥

ダイアリーから移築。中身は変わらずに色々と、あることないこと書き込んでます。

12代目脱走計画

「飽きた・・・。」

書類の海に埋もれること早三日目。流石に、紙の山は減ったけれど、それと同時に順調に雪都のHPも減っている。
人間が過ごす最適な環境に整えられたご大層な執務室。エアコン様様。この機械のおかげで最高な環境で最低な仕事が出来る。馬鹿みたいな書類を確認して判子を押して却下したり採用したりを繰り返す日々。もう、この部屋ごと爆破して全てをなかったことにして水に流してしまいたい。まぁ、爆破なんてした暁には恐ろしい最強の保護者の追っ手がかかって説教正座で三日コースが待っているだけなのだが。

「夏だよ?海に行かないと。Tシャツとジーパンにビーサン。」
「これ、終わったら考えてやる。」

再び追加されか紙束を、澄ました匡の顔に投げつけてやろうかと画策するけど、やったら後が怖いので、雪都は素直に書類を受け取る。どこまでも無常な優秀な片腕は今日も絶賛厳しい監視者&保護者様で、その涼しげな顔がムカつく。

「なんか、熱い。」
「我儘言うな。人間が過ごす最適な環境に設定してあるんだ。」
「夏ってだけでダルイもん。空気がさぁ、熱いっての?」
「気のせいだ。人間気合があれば何でも出来る。」
「黴の生えた精神論を唱えても何の足しにもならないよ。」
「じゃ、早く仕事を終わらせるんだな。」
「冷たい。」
「熱いなら丁度いいんじゃないか。俺は三日ほど出掛けるから、その間に書類全て片付けて支持出しとけよ。」
「え?ズルイよっ!なんで匡さんだけ出かけるのさ。」
「会合だ。どこぞの十二代目がごねて行かないと。」

内包される嫌味にチクリと心臓を刺激された雪都は、それ以上怒られる前にと慌てて手元の書類に視線を落とす。机に懐いてだらけきった雪都の変わり身の速さに苦笑しつつ、匡は追加の書類を積んでいく。それから、外出用の鞄と上着を手にする。

「脱走、するなよ?」
「へーい。」
「もしも逃げ出したら、朔と龍二、けしかけるからな。」
「へいへい。」

解ったから早く行けと、雪都はヒラヒラと手を振る。と、思ったら、お土産にアイスを買ってこいと満面の笑み。そんな子供染みた仕草に笑って、匡はいい子にしてろと執務室を後にする。
残してきた書類を全て片付けるには、早くて三日かかるだろう。大人しくしていてくれるか、半々のところだ。さっさと面倒な会合を片付けて早目に戻る方が賢いだろう。
御神家十二代目当主の肩書きは重いだけだろうに、雪都は良くやっている。出来れば、頭に文句も言わずと付けたいところだが、雪都の性格を考えれば高望みしすぎといったところか。

「今抱えてる仕事が片付いたら、どこか旅行でも行くか。」

他のメンバーのスケジュールを考えながら、匡は早足に駐車場を目指すのだった。










ってことで、古歌の脳内大放出。基、懺悔のお時間です。
十二代目と呼ばせたいだけに生まれた雪都くんは、お仕事に追われてますね。別に、無能って訳じゃないの。誰よりも能力は高いし事務処理能力もあるけど、目の前に書類の山が並ばないとスイッチの入らない子って感じで。
匡さんは、そんな雪都くんの保護者であり片腕であり監視者でありお兄さん。苦労性でサポートをやらせたら超一流のお兄さん。雪都くんに振り回される毎日を楽しんでる案外狸ってところか?
それにしても、久しぶりに騒いだよ。このメンバー。
これ、結構細かい設定はあるんだよね。
ちなみに、気が向いたら明日はこれの続きを撃つでしょう。