日々妄想を逍遥

ダイアリーから移築。中身は変わらずに色々と、あることないこと書き込んでます。

公園デート(閲覧注意)

国民の休日万歳。
ニュースで流れる行楽地の様子を、目を輝かせて見ている我が家のカイト君は、どこか行きたそうにテレビ画面と俺との間を見比べている。
こんな混んでる最中に出かけるなんて、俺にとっては死亡フラグもいいとこだ。引籠もり万歳。出かけてなるものか。出かけるのが嫌で、電車も車も好きになれないから、仕事だって慎重に選んだんだ。


「ますたー。」
「駄目。」


悪いとは思ったけどね。


「まだ、何も言ってません。」
「嫌だ。出掛けない。」
「だから、まだ何も言ってませんってば。」


きゃんきゃん吼えるカイト。ウチに来たばかりの頃はまともに喋れなかったのに。今じゃ、口を開けばマスター。続くのは俺への小言。カイト曰く、俺はどうやら駄目人間の烙印を押されるぐらいに自堕落らしい。人間としての生存本能は何処へ行ったのですかって涙目で叱られたのは記憶に新しい。あれは・・・三日ぐらい眠って起きなかった時だ。だって仕方ないだろう。眠かったんだし。
カイトは基本飯いらないから、俺は起きる必要ないだろうし。適当に冷凍庫開ければコイツの好きなアイスも買ってあったし。
それでも、カイトは怒ったなー。何で怒ったのかちょっと解らないけど。



「行きましょうよ、お出かけ。マスター、もう一ヶ月引籠もってますよ?」
「電車、嫌い。」
「俺、車の運転出来ます。」
「車も嫌い。」
「じゃ、徒歩・・・。」
「もっと嫌い。」


全ての案を却下したら、カイトは途端に拗ねたような顔でテレビに向き直る。
見た目二十歳過ぎのお兄さんが頬を膨らませて怒ってますって顔しても、どうかって話だけどな。まぁ、カイトは性別も年齢もあまり感じさせないから見た目は麗しいし可愛らしいけど。


「最近のマスターは前以上に自堕落です。歌だって最近新しいのくれないし、アイスもお徳用の大きいのばっかだし、むしろネットショップばかりで飽きます。ご飯だって一緒に食べてくれないし、俺一人だし、寝てばっかりだし、俺一人だし、一人のご飯もアイスも美味しくないし、マスターは構ってくれないし。一緒にいるのに一人って何ですか、もうアイスピック持ち出しますよ。イチゴソース覚悟で襲ってみましょうか・・・。」



ぶつぶつテレビに呟くカイト。言葉の中に聞き捨てられない単語が幾つか。
ヤンデレフラグなんざ、立たんでいい。むしろ、立てないでください。
仕方ない、部屋を汚されるのも襲われるのもゴメンだ。
部屋着のままでは流石にまずいので、ジーンズにシャツ、それからファーの付いたジャケット。ライダーズ見たいに首まで絞まるし、それっぽくないし。



「カイト。」
「マスターなんて引籠もりのくせに、童顔のくせに、俺より身長低いくせに。」
「カイト、行かないのか?」



まだ呟くカイトの背中にメットを放る。痛かったのかなんなのか、少し前につんのめったカイトは、フローリングに落ちたメットを拾い上げる。


「マスターっ!」


メットを抱えて突っ込んできたカイトを避けて、バイクの鍵と家の鍵を手にする。そこは受け止めてくださいよーとか言ってる馬鹿に靴を履かせる。ってか、お前自分が俺よりデカイって忘れてないか?非力な引籠もりに支えられる訳ないだろうが。
マンションの駐車場から愛車を引っ張り出す。GSX-R1100の黒。塗装は全て自分でやった自慢の愛車だ。
車も電車も飛行機だって嫌いだけど、バイクは多分俺が許せる唯一の移動手段だろう。メットを被ったカイトはワクワクと後ろに乗り込む。



「落ちるなよ。」
「落ちませんよっ!!」



ぎゅっと回ってきたカイトの手を叩き落して、ゆっくり駐車場を出る。そんなに遠出する気はない。マンションから少し走れば桜の綺麗な自然公園があるはずだ。そこでスタンドのアイスでも買って帰ればいいだろう。



「マスター!!海行きたいですっ!!」
「却下。」


風に飛ばされないように大声を張り上げるカイト。この時期に海行くばかが何処にいる。あぁ、ここに居たか。俺、カイトの教育間違えたかも。あんまり放置してたから、テレビからろくでもない情報ばかり仕入れてきたし。
今度から、テレビは一日一時間。そんで、もう少しカイトに構おう。
そう決めて、大きな交差点を左折。そのまま少しばかりスピードを上げてエンジンを遊ばせる。
公園の手前、市営の無料駐車場でバイクを止めたら、後ろのカイトは少し不満そうだ。



「公園じゃないですか。」
「嫌か?ならかえ・・・。」
「嫌じゃないですっ!!」


公園の中をゆっくり散歩してから、スタンドのアイスを購入。湖でボートに乗るカップルや家族連れを横目にアイスを食べるのだが、寒くてアイスは正直いらなかった。ので、カイトにやったら満面の笑みで喜んだ。


「マスター、寒いんですか?」
「寒い。」


ジャケットのファスナーを最大限上まで引き上げてもまだ寒い。隣のカイトは暑いとか寒いとか感じないし。走り回るお子様は元気に半袖だ。


「引籠もってばかりだから、体力落ちてるんですよ。」
「バイク振り回せりゃ、上等だ。」
「でも、今日の運転、時々ハンドルもってかれてました。」


痛いところを突かれた。



「マスター、これから温かくなりますし、少しだけ引籠もり止めましょ。」
「外は、好きじゃない。」
「自室から出るだけでもいいですから。俺最近一人で寂しかったんですよ?」
「・・・善処する。」



春めいた日差しでも寒いもんは寒い。引籠もりを止めるつもりもない。
それでも、少しだけ、部屋から出るぐらいはしてやろうと思った。


ヤンデレ化されても困るしな。」
「マスターはツンデレですね。」






以下は古歌の懺悔です。
やっちまった・・・後悔はしているが反省はしていない!!
ボカロの青い兄さんが好きで好きで、書いちゃった☆彡
友達んとこのカイトを弄って遊び倒してたら浮かんだ駄文。カイトは有機アンドロイドの設定。マスターは自堕落を絵に描いた人間辞めてる人です。
色々設定まで作っちゃったもん。マスターとカイトの出会いとか、この後に来るアカイトとか帯人とか。
ボカロってのは面白いもんだね。古歌さんも欲しいよ、カイトとメイコ。鏡音双子も好きだけどね。声的にはやっぱり青い兄さんかな。
ボカロを扱うには、もう少しスペックの高い機械にしないとなー。やれば絶対に嵌るから、際限なく何でも買い始めそうだ。