日々妄想を逍遥

ダイアリーから移築。中身は変わらずに色々と、あることないこと書き込んでます。

歌う楽しさを胸に秘めて叫ぶ

歌うってことは生きることだ。



声を出して想いっきり歌って、それだけで生きているって実感できたのに。何時の間にか、歌うことが苦しくなった。自由に声を出せなくなって、自分の身体のはずなのに自由に操れなくなった。
焦って声を絞り出して、まるで悲鳴か痛めつけた喉がキリキリ痛むの。なんで?どうして?存在意義が剥離して、人格が、構成する全てが脆くも崩れていく。楽しくない、嬉しくない。悲しくもないけど、怒りもわいてこない。
苦い煙を吸い込んで、あんなに笑っていられたのに、どんどん余裕が消えていく。
バンドの演奏が腹立たしい。五月蠅い、五月蠅い。どうしてって、そんなのコッチが聞きたいのに。歌えない歌い手に価値は無い。あるのは邪魔ものお荷物とんだ見込み違いって見解だけでしょうね。自分でも嫌になるほど自覚してますから。お願いだから、歌い方を思い出させてよ。生温いギターもドラムもベースも、そんなんじゃ歌えない。余計に募る焦燥感。吐き出せない言葉は胸の内に積もって、内側から攻撃を仕掛けてくる。キリキリ、痛みに軋む体が痛い。痛くて泣きそうだ。涙を流すなんて何年ぶりだろう。
お願いだから、歌うことを奪わないで。他の何を差し出しても構わない。あと一度だけ想いっきり歌わせてくれたら、この命だって捧げてあげる。



かみさま、かみさま。
一度だって振り向いてくれなかった、かみさま。
おねがいだから、このおねがいだけは、かなえていただけませんか?
かみさま、かみさまっ!!




血反吐吐いて倒れるスタジオの床、汚い濁った色した床に、倒れ臥す。
あぁ、神様なんていないんだ。存在すらしない神様に祈るぐらいに、自分は可笑しくなってたらしい。
とんだお笑いだよ。なぁ、かみさま?
病院の白いベッドなんて、そんなのないよ。此処は、居るべき場所じゃない。
少し汚れた美しい思い出。想いっきり楽しくて、笑えて、怒れて、歌うことが何よりも楽しかった自分。
スタジオでも、街中でも、メンバーが揃えばそこが会場。場所なんてどこでもいいんだ。
歌えさえすれば、他に何もいらなかったのに。
最高のメンバーだったのに。
なんで、かみさまは、俺の大事なものを、全て奪ってしまう。
俺、何か悪いことしたかな?
悪い子だから、俺から全てを奪うの?
ねぇ、かみさま。




消えた言葉は胸のうちに積もって、俺を内側から破壊する。
破壊された俺に残るのは、ただの入れ物となった体だけ。
空っぽの俺に響く音は虚ろで、恐ろしいぐらいに静寂が支配する。





歌わせて・・・
かみさま・・・おねがい。
おれから、歌をとらないで。