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日々妄想を逍遥

ダイアリーから移築。中身は変わらずに色々と、あることないこと書き込んでます。

桜連作

宴の準備

お昼時、部署内ではザワザワと落ち着かない空気で満ちている。 本日、我が部署ではお花見が行われるのだが、その形式が何時もと違う。今年は趣向を変えて、なんてあの馬鹿が言っていたけど。 五時の定時と共に一度解散後、六時に会社に再び集まれとの事。し…

遠くになる音

ぼんやりと空を見上げる。 遠くに流れていく白い雲。澄み渡る青空に混ざるオレンジ。 吹き渡る風は春の匂いをつれている。どこか錆び付いたみたいな、妙に生々しい風の匂い。 スン、と一つ鼻を鳴らして灰を落とす。 この季節は好きだけど、どうもムズムズす…

夢の中の音

ざわり。風が一陣駆け抜ける。 つられるように振り返る私の横を、風と共に駆け抜ける少女。 背後で響く断末の悲鳴。命を一つ、終わらせた音。 「危ないわよ。ぼーっとしちゃってどうしたの?」 ころころと転がる声。弾む幼い少女の声。 この場面に不釣合な、…

鈴の音色の意味

小さな鈴。 銀色の、赤い紐でぶら下げた小さな鈴。 この音色が、夢と私をつなげる架け橋だと言うならば、この鈴は果たしてどちらの世界を現実と捉えているのだろうか。 「胡蝶の夢って奴ですか。」 昼休み。果てしなく混み合う社員食堂の片隅で、そんな事を…

鈴の音がする

あぁ、またこの夢だ。 満開の桜。春爛漫なんて穏やかな表現では追いつかない。百花繚乱、百花乱舞、そんな激しい言葉が似合いの狂い咲きの桜。 薄紅の花弁が身体を包む。強い風が吹き荒れて、視界を薄紅一色に染め上げる。 痺れるように、重い両手で持ち上げ…

舞い散る花

はらり、はらり、はらり。 薄紅の花弁が目の前を塞ぐ中、彼女は真っ直ぐに立っている。 そのスラリと伸びた背筋とか、背中をうねる黒髪だとか、真っ赤に染まった白い着物だとかが、とても美しくて怖い。 彼女は、ただ立っているだけなのに。 「次は?」 うっ…