日々妄想を逍遥

ダイアリーから移築。中身は変わらずに色々と、あることないこと書き込んでます。

オリジナル妄想

双子

真っ白いカーテンが揺れる。 視界の端をちらつく布がちょっとだけ脳内を掻き混ぜていく。 硬いベッドと消毒の匂いに、此処が保健室だと脳内で判断する。 「気が付いた?」 眼鏡が似合う保険医は、前の先生が妊娠で産休入ってその代理。男の保険医って珍しい…

ってことで

「海行きません?」 「行くか、馬鹿。」 何が悲しくて真冬の海なんて行くんだか。自殺志願者ですかっての。しかも、男二人で。寒いし、寒いし、何だか痛い。痛いですよ。大事な事なので二回言いました。 「じゃ、千葉なのに何故か東京と言い切った愛と冒険と…

朝日が昇るまで

飽きるほどに互いの体温と肌を貪った。 長く別れて永遠かと思える長いときを互いに待って、今更重なると思えなかった道が交わって。 半身を千切られたかと思えるぐらいに痛みと焦燥を覚えた。 桜の下で奇跡の再開とか、陳腐でお似合いかもしれない。 馬鹿み…

君の隣で眠りたい

満開の桜の下で再開なんて、出来すぎたドラマみたいだった。 風が染まる中、変わらない姿で佇む貴方は笑っていて、ただいまって。 なぁ、どれぐらい待っていたと思う?時間は数えないって言ったけどさ、もう死んでるんじゃないかって何回も思ったさ。 そんな…

ベランダ

部屋の中で煙草吸わないで。 クソ寒いベランダへ。 どっちが居候だか解らないね。 寒いと指先から感覚が消えていく。 戯れに灯した小さな炎。 ジッポの炎は少し優しい気がする。 指先を翳して、温めるって言うよりは、炙ってる。 全身炎に包まれたら、苦しい…

終焉の日

豪華な部屋。 調度品は全てが最高級の物。 身に纏う衣装は全てがオーダーメイド。 同じ物は一つとしてない。 華奢な猫足が優美な曲線を描くビロード張りの椅子。 この部屋に連れて来られて、一番最初に与えられた物だ。 何でも、どんなものでも、望むものは…

いい加減にしなさい。

今日は晴れ渡る青空。 真冬の一日、小春日和最高。 屋上に放り出して雪かぶってた椅子を綺麗に掃除して、木箱を重ねたテーブルも設置。 山ほど溜まった洗濯を一気に片付けて、そいつも屋上に干してやる。 それから、特別な時、主に客専用の珈琲豆を挽いてか…

死ねばいいのに。

事務所に出勤。 今日も、ポストの中には大量の請求書と督促状。見なかったフリで速やかにゴミ箱に。 それから、支出と収入の合わない経理を繰り返して、最終的に全部消えてなくなるか世界が滅亡するか首を吊るかしないと、どうにもならない事を確認。 記憶に…

ラフ・メイカー

部屋の中で一人、泣いた。 だって、もう何もかもが気に入らないんだ。悔しいとか、悲しいとか、むかつくとか、楽しいとか、嬉しいとか、苦しいとか、面倒とか。 いろんな感情が溢れて、涙になって外に飛び出したんだ。 ともかく、泣くしかなかった。 大声上…

背中合わせ

寂れた温泉街の駅。 田舎の駅の癖に、ホームだけはえらく広いしデカイ。 屋根はあるけど、他には何もない寂しいホーム。 最近では滅多に見かけなくなった、ホームの灰皿。 あぁ、この駅にはまだ灰皿があるのか。 安心して、煙草を咥えた。 小さな鞄一つ。 ま…

三人並んで

久しぶりに故郷に帰ってきた。 引越してから、何年経つんだろう。 ってか、町並みが変わり過ぎてて道わかんねーな。 あれ?確か、この辺に酒屋なかったけ?むしろ、駅はもっと小さかったよ。なに、あのデカイ上に高いビル。 いつから、この町は街になってし…

はい。

高校生の二人組み。 もう受験だなんて言いながら、でも結構お互いにどうでもイイ将来。 未来とか良く解らないけど、やりたいことも解らないけど、それでも生きていく時間。 膨大な時間の流れの中で、たった一時だけ交差したお互いの時間。 永遠なんて言葉は…